毎月分配型は実を毎月もいでしまう木のよう。定期的に受け取れる安心感の裏で、複利という最大の武器を手放しやすい構造があります。月3万円・30年で比較します。
30年シミュレーション結果(概算)
毎月分配型投信:約1,305万円
S&P500(NISA):約2,497万円
同じ月3万円・30年でも、差は約 1,192万円。以下でその差が生まれる原因を分解します。
【共通の試算前提】毎月3万円を30年間(拠出総額 1080万円)積み立てた場合の概算です。積立の将来価値は月次複利で FV = P×((1+r/12)^360−1)/(r/12)(P=3万円)で計算。課税口座は運用益に20.315%課税、NISA(つみたて投資枠)は非課税として比較しています。利回りはいずれも過去実績に基づく保守的な仮定で、将来を保証するものではありません。
※30年後の概算手取り額(万円)。横軸はS&P500想定(2,497万円)を100%とした相対長。
| 比較対象 | 想定利回り | 課税 | 30年後(概算) | S&P500との差 |
|---|---|---|---|---|
| 毎月分配型投信 | 年1〜1.5% | 都度課税 | 1,305万円 | ▲1,192万円 |
| オルカン(全世界株式) | 年4.5% | NISA非課税 | 2,278万円 | -973万円 |
| S&P500(米国株式) | 年5.0% | NISA非課税 | 2,497万円 | ±0 |
| 拠出元本(積み立てた総額) | — | — | 1,080万円 | ▲1,417万円 |
基準価額のリターンが年3%相当でも、分配金の流出と課税で実質複利は年1〜1.5%程度に落ち、30年後は約1,223〜1,305万円(分配金を再投資しない前提)。
運用自体は年3%相当でも、毎月分配で利益を外に出し、そのたびに課税されると、再投資に回るお金が減って実質複利は年1〜1.5%程度まで低下します。結果、30年後は約1,223〜1,305万円。S&P500想定の約2,497万円とは約1,192万円前後の差です。
分配のたびに課税が発生して複利がリセットされ、さらに一部は運用益ではなく元本の払い戻し(特別分配金)のことがあるためです。
資産形成の最大の武器は複利——利益が利益を生む雪だるまです。ところが毎月分配すると、利益を雪だるまに戻さず外に出してしまう。課税口座では分配のたびに約20%が課税され、複利の"繰延効果"を毎月放棄することになります。さらに、運用がふるわない月の分配金は利益ではなく元本の払い戻し(特別分配金=いわゆるタコ足配当)のことがあり、これは自分の元本が戻ってきているだけです。信託報酬も高め(年1〜1.5%台が多い)で、二重に効率を下げます。
🌾 公平に見る:毎月分配型投信が合理的な場面
毎月分配型が悪、と断じたいわけではありません。すでに資産を築いた人が、取り崩しの代わりに定期的な現金を受け取る目的なら、心理的な使いやすさがあります。ただし「これから増やす」フェーズでは、複利を活かせる無分配・再投資型のインデックスのほうが目的に合いやすい、という整理ができます。目的(増やす/受け取る)で選び分けるのがポイントです。
本記事は特定の金融商品の勧誘・推奨を目的とするものではありません。試算は仮定の利回りに基づく概算であり、将来の運用成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
※利回りは過去の実績等に基づく仮定であり、将来を保証しません。実際の手数料・税・為替・分配・運用成果は商品や市場環境により変動します。金融商品には元本割れのリスクがあります。
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